INFORMS Marketing Science Conference 2009 2日目

2日目.自分が出たセッションを要約.間違ってる可能性が高いので,原典にあたってください.

●FA05 Decision Neuroscience: Progress, Opportunities and Challenges

  • A Salesforce-Specific Theory of Mind Scale
  • Willem J.M.I. Verbeke, Roeland C. Dietvorst, Marion Smits, Aad van der Lugt, Carolyn Yoon

神経科学によって,セールスパーソンを評価しようという研究.製薬業界においてセールスパーソン(MR)はドクターに説明する,ナースから近づくなど,様々な戦略がありえ,これは一つのゲームとして解釈できる.このようなゲームにおいてMRはどのようにプレイしているのか.その役割であったり,訓練をすることは可能なのか.結果としてScore Theory of Mind (STOM)が低い人はより心配性であり,他の人と異なる行動を取り,あまり適応力がないことを明らかにした.

  • Asymmetries in Intertemporal Choice: Neural Systems and the Directional Evaluation of Immediate versus Future Rewards
  • Eric Johnson, Bernd Figner, Amy Krosch, Jason Steffener, Elke U. Weber

intertemporal choice decision(健康,投資,需要など)は行動経済学でも明らかにされつつあるように双曲割引となるため難しい.Query theoryは修正を通して選好を構築するものであり,delayとaccelerationの間の割引率に大きな違いを見せる.神経科学では2つのメジャーな理論があり,一つはBeta-Delta(McClure et al.), もう一つはNeurometric Model (Kabel and Glimcher)である.accelerateとdelayの違いをTMS(Transcranial Magnetic Stimulation)≠fMRIで調べたところ,Delayの方が割引率が高くなることが実証された.(TMSはfMRIみたいに中に入るヤツではなくて,頭にヘッドギアみたいなものをつけるヤツだと説明されました.)

  • Delaying Gratification Engages the Brain's Default Network
  • Richard Gonzalez, Israel Liberzon, Luan Phan, Chandra Sekhar Sripa

上記と同様のテーマで満足の遅れ(お預け?我慢?)の測定について.引用論文としてMcClure, Laibson, Loewenstein et al. (2004)など.途中からは脳の断面図と各部位が光ってる画像が10枚くらい説明され,ここが光っているからこうだ,みたいな話でさっぱり理解できず.完全に神経科学の内容っぽい.

  • Functional Imaging of Diminished Self-control
  • William Hedgcock, Akshay Rao, Kathleen Vohs

self-controlについて.ストループ効果の実験を行い,画面の中心に+マークがあり,そこから目を離さないことがタスク.ただし,画面の一部にランダムに文字が描かれている(たとえばclockなど).あるグループには「画面にランダムに文字が出ますが,無視してもいいですよ」というeasy manipulation.一方のグループには「必ず文字は無視してください.これは非常に重要なことです」というhard manipulationをすると,easy manipulationの方が左右されないという結果に.

●FB05 Consumer Behavior: Decision-Making I

  • Account Aversion: When More Debt is Preferred to Less
  • Scott Rick, Cynthia Cryder

クレジットカードで購入する際,purchaseの決定と,repaymentについての決定をしていることになる.消費者はどのようにrepaymentの決定を行っているのか.Account aversionはrepaymentの失敗をおかしうるかというスタディでは$100で年率10%のクレジットと$1000で年率20%のクレジットの場合,実際に必要な額によっては$1000の方がrepaymentが低くなることがあり得るのに$100を借りてしまうという失敗が生じる(このへんの理屈がよくわからなかった).

  • Situation Dependent Mental Representations of Consumer Decision Problems
  • Benedict G.C. Dellaert, Theo A. Arentze, Harry J.P. Timmermans

decisionのmental representationとしてレビューはJohnson-Laird (2001),Lowenstein (2001), Weber and Johnson (2006)などがある.Mental Modelとして,Johnson-Laird (1983)があり,人々は意思決定タスクにおけるワーキングメモリー負荷を減らそうとしていると仮定している.その後,いろいろダイアグラムが出てきたが,残念ながらよくわからなかった.

  • Fantasies and Expectations as Advertising Tools
  • Nevena Koukova, Shweta Oza

将来のことを考える際に,普通はExpectation(出来事のおこりうる度合い)を考えるが,別の方法としてFantasy(イメージすること)がある.Fantasyに関する理論的な背景として,ポジティブな期待は高いパフォーマンスをもたらすことがあるという既往研究(Oettingen and Wadden (1991), Oettingen and Mayer (2002))などがある.SPで新しいPCのWTPを測定するスタディにおいて,ポジティブなときはexpectationの方がfantasyよりも高いWTPになるが,negativeな内容のときはexpectationよりもfantasyの方が高いWTPになる.

●FC03 Advertising: Internet

  • The Effect of Advertising on Word-of-Mouth
  • Sarit Moldovan, Don Lehmann

口コミの効果について,製品の口コミになるか広告のみの口コミになるかの実証的研究.creative adは広告の口コミになるが,製品の口コミにはならない.informative adは製品の口コミになるが,退屈な可能性.negativistic adは口コミを増加させるが,ネガティブな口コミになりやすい,sex appeal adは適切なレベルだと口コミになるが,やりすぎると逆効果であるという仮定をおき,アンケート調査から因子分析をして,仮説が正しいことを確かめた.

  • Intent and Interest: The Attention Economy of Search and Web Advertisement
  • Alexander White, Kamal Jain

広告主はどのサーチエンジンに広告を出すか,どれくらいの量の広告をだすかという問題があり,サーチエンジンは広告を出してもらって収益を上げるという問題がある.解析的なモデルとして1 サーチエンジン1アドバタイザーモデル,1サーチエンジン複数アドバタイザーモデルと拡張していき,解析的な解を求めていた.

  • Diagnosing Websites and Analyzing Visitors' Navigation Patterns from Log files
  • Makoto Abe

インターネットのWeb Siteのログファイルから移動パターンの分析をする研究.transitionはhyper linkのtransition matrixとして表現でき,sessionはcorrelation matrixとして表現できる.Bayesian Conditional MarkovTransition (BCMT) Modelとして予測し,これまでのユーザー履歴からこの人の行動パターンは次にどのページに行きやすいかを予測して,それをナビゲートする.用いたデータは38pagesのwebsite,2743pageview, 908 unique visitor.