INFORMS Marketing Science Conference 2009 3日目

3日目.自分が出たセッションを要約.間違ってる可能性が高いので,原典にあたってください.

●SA08 Dynamic Models I

  • Exploring Revenue Concentration within the Firm Using an Agent Based Simulation
  • Keith Hermiz

IBMのsaleは一部のユーザーに偏っているが,これは良いのか悪いのかということを分析.このようなconcentrationについてのレビューとしてSsnchez et al.,Sanchez and Ruiz, Liu, Goodwin, Koenigなどがある.sales concentrationとdynamic of buyer-seller behaviorの関係を理解し,ジニ係数的なものを計算する.

  • Understanding The Value of Investments in Exploitation And Exploration Capabilities: Balance Versus Focus? A Dynamic Perspective
  • Matthew Sarkees, John Hulland

企業のresource-based value(RBV)の研究として,短期的な予算による参入能力と調査能力と長期的な能力の違いを明らかにする.レビューはDutta et al.(1999), Mizik and Jacobson (2003).参入能力が優れている企業は低いROAと高いトービンのqをもつ.実証研究として製薬業界.Stochastic FrontierEstimation (Dutta et al. (1999))により推定.次にGeneralized Method of Moment Model (GMM)(Nickell (1981), Roodman (2006))によってCapability
Linkを推定.企業サイズが大きいと算入しやすいが,調査はしにくい.そのため短期的には利益が出るが,長期的にはマイナスになる可能性を示唆.

  • A Practitioner's Guide to Bayesian Estimation of Discrete Choice Dynamic Programming Models
  • Andrew Ching, Susumu Imai, Neelam Jain, Masakazu Ishihara

離散選択動的計画モデルを最尤推定やGMMでやろうとすると次元の呪いやglobalmaximumが発見しづらい.そこでベイズ推定が一般的になりつつあるが,計算負荷が高い.そのため,計算負荷が以前より少なくなる新しいMCMCアルゴリズムを開発.IJCメカニズム.アルゴリズムの詳細についてはきちんと理解できていないが,次のsiteにワーキングペーパーがあるので,興味がある人は読んで欲しいとのこと.これは非常におもしろい内容でした.
http://ssrn.com/abstract=1398444

●SB05 Auctions: Bidding Behavior

  • Drivers of Bidding Behavior In Electronic Reverse Auctions
  • Sengun Yeniyurt, Cynthia Stevens, Stevie Watson, Craig Carter

Self-Discrepancy(自己不一致)がオークションに与える影響について.不一致のギャップが大きければ大きいほど,不満のレベルが大きくなり,結果としてオークションで不合理な行動をとる傾向にある.レビューとしてCartet et al.(2004), Jap (2002), Dittmar (2005)など.

  • The Impact of Online Auction Duration
  • Ernan Haruvy, Peter Popkowski Leszczyc

オークションの入札期間が最終価格に与える影響についての研究.一般に期間が長くなればなるほど,入札者の数が増えるはずなので高い価格になるはずである.しかし,既往研究ではCox(2005), Bulow and Klemperer (1996)は高くなることを支持し,Ariely and Samouson (2003)は低くなることを支持している.そこで,eBayとLocal Auction siteで同じ商品を短い入札期間(1日)と長い入札期間(3日や10日)でやったところ,eBayでは長い方が入札数,入札者数,最終価格が高くなる傾向にあったが,Local Auctionでは低くなる傾向になった.

  • The Democratization of Personal Consumer Loans: Evidence from Online Peer-to-peer Lending
  • Rick Andrews, Michal Herzenstein, Utpal Dholakia, Evgeny Lyandres

P2P lendingに関する研究.話は聞いたことがあったけど,ついにここまできたかという印象.現在,prosper.comなどでは$178 millionがP2P loanになっているらしい.borrowerは個人情報,必要額,最大利子率,返却期間を提示し,bidderは貸し出せる量,希望利子率を提示する形でオークションが行われる.途中打ち切り回帰モデルによってパラメータ推定しているのだが,borrowerの説明変数にヒスパニックの符号がマイナスに,African Americanの符号がプラスに出ていたりして,やばい経済学みたいですごい.非説明変数は最終利子率.

  • Loseris Curse? Effects of Losing an Auction on Bidding Behavior in Subsequent Auctions
  • Mayukh Dass, Srinivas K. Reddy

オークションの分野ではWinner's Curseというのがあるが,LoserにもCurseがあるという研究.1回切りのオークションだと生じないが,たとえばヤフオクでAという商品を買いたかったが買えなかったときに,別の人が販売しているAに再度飛びつき高い価格で買ってしまうこと.これはオークションで負ける→フラストレーション→アグレッシブ→興奮→リスクテイク→over bidding→高い落札額という流れになっており,データ分析から実証していた.

●SC11 Choice Models

  • A Bayesian Structural Model of Retailer Behavior Based on Spatial Correlation in Consumer Choice
  • Ohjin Kwon, Jorge Silva-Risso

選択における空間的な相関を表現した消費者モデルの研究.状態損のレビューとしてはRoy, Chintagunta and haldar (1996), Erdem (1996)があり,空間モデルとしてはYang and Allenby (2003), Jank and Kannan (2005)がある.本モデルではspatial weight matrixを考え,これに基づいた誤差項をモデルに含めたSpatial Preference Correlation Probit Modelを構築.

●SC13 Brands and Branding: Metrics

  • Cognitive Knowledge Measurement toward ROI in Brand Management
  • Akihiro Inoue, Akihiro Nishimoto

ブランドをCognitive Knowledge Structureとして捉えて,Mean-End Theory od Gutman (1982)をもとに,structural equation modelを日本のシャンプーブランドで推定.ブランド認知の仕方がuserとnon-userで異なることを示す.また,制汗剤ブランドについても階層ベイズでモデル化し,ブランド認知について示している.

●SD15 Pharmaceutical Marketing II

  • To Listen or Not to Listen: Response to Unexpected Negative Information Release
  • Wei Zhang, Shibo Li, Ajay Kalra

企業や製品に関するネガティブな情報がsalesにどのように影響を与えるのかについての研究.たとえば新製品は通常ポジティブな情報から入ることが多いが,その後製薬業界などはニュースなどで「指導」といったネガティブなニュースが情報として入ってくる.消費者ははっきりとしないが疑わしいネガティブな情報にどのような反応をするのか.レビューとしてDawar and Pilutla (2000), Ahluwalia, Burnkrant and Unnava (2005), Ahluwalia (2000), Cleeren,
Dekimpe, Helsen (2007)などがあり,ベイズ学習のフレームワークでモデル化.

  • Measuring the Informative and Persuasive Roles of Detailing on Prescribing Decisions
  • Masakazu Ishihara, Andrew Ching

製薬業界はMRが病院に説明しに行くといったdetailingのコストが非常に大きい.detailingは需要に関してどのような影響を与えているのだろうか?一つはinformative and reminding role,もう一つはpersuasive or "bribery" role.そこで,detailingのそれぞれの役割を識別して,効果を特定したい.製薬業界ではco-marketeingという同じ薬を2つの会社で共同研究して別々のブランドネームで販売するという協定があり,このデータを用いることで上記の2つの役割を
識別することを考える.モデルとしてはNarayanan, Marchanda and Chintagunta (2005)とChing and Ishihara (2009)を比較し,briberyの効果がない場合の動的なsaleを推計した.