INFORMS Marketing Science Conference 2009 1日目

自分が出たセッションを要約.間違ってる可能性が高いので,原典にあたってください.

●TA08 Structural Econometric Models

  • Counterfactual Prediction with Panel Data
  • Kanishka Misra, Benjamin Handel

panel dataの分析のために,サミュエルソン型の選択(Weak Axiom of Revealed Preference: WARPとthe Strong Axiom of Revealed Preference: SARP)とMcFadden型の選択をコンバインしたモデルを考え,比較する.通常のRUMに基づく離散選択モデル,Heuristic decisionモデル(Dreze et al.(1994)やNevo et al. (2007):決定のφ%は選好に従わないと仮定するモデル.φはパラメータ)などを比較.データは真値のわかっているシミュレーションデータで,需要曲線のカーブのばらつきが変化することを明らかにした.が,質問でいろいろ突っ込まれていた.

  • How Do You Properly Diagnose Harmful Collinearity in Moderated Regressions?
  • James Hess, Pavan Chennamaneni,Raj Echambadi, Niladri Syam

交互作用のある回帰分析を行うときに,ときおり危険な共線性が生じることを説明していた.プレゼンテーション開始時にいきなり3分間くらい歌い出すことも.危険な共線性を把握する新たな指標を考案したという内容.しかし,正直よくわからなかった.

●TB08 Bayesian Econometrics: Applications

  • Regular and Irregular Purchase Timing Behaviors
  • Wei-Lin Wang, Li-Chung Jen, Demetrios Vakratsas

消費者のregural behaviorのタイミングに関する研究.たとえば,オリーブオイルを購入するなどといった行動はある程度の定期的な購入行動になるが,何らかの要因,たとえば値下げが行われた,職場環境が変わった,ダイエットを始めた,などにより,定期的な購入行動が早まったり,遅くなったりする.一般にマーケティングの分野ではタイミングについてある単一の確率分布に従うと仮定しており,動的なタイミングの変化については(Allenby et al. (1999), Fader et al.(2004)以外は)考慮していない.そこで,inter-purchase timesにirregularityとreguralityの混合分布を仮定して分布を推定する.ガンマ分布だけのときよりも混合分布の方が標準誤差も小さくなり,正確な分布が推定できる.マーケティングの分野では,このような分布の推定がメジャーであり,行動モデル的な構造化(なんでそうなるのかを説明する)を行わないのでちょっと違和感があるが,こういうやり方もありなのだとわかる.

  • Are We ‘Halos’ or ‘Formators’? - A Bayesian Mixture Model Analysis of Customer Satisfaction Data
  • Joachim Bueschken, Greg Allenby, Thomas Otter

CSの測定について,retrieval (検索?) vs computation (計算)という議論があり,この分析では多変量正規分布に従うlatent continuous evaluation をベイジアンアプローチでMCMCを用いて推定する.実証的な結果として,消費者の知識やいつサービスに出会ったかによって評価が異なり,タイミングや新近性を無視すると評価が大きくなってしまうことを示した.これはCS測定のジレンマを示している.

  • Modeling Latent Geo-dependent Attitudes using Bayesian Spatial Factor Analysis
  • Stanislav Stakhovych, Tammo Bijmolt, Michel Wedel

消費者はファイナンシャルプランナーをどのように選ぶのか?全米FP協会調べでは専門性42%,地理的関係27%という結果が出ている.個人ごとに異質性があることはYang, Allenby (2003)などからも明らかであるが,地区ごとに一定の傾向があることもわかっている.なぜ,態度が空間依存するのか?が背景.モデルとしては潜在変数,空間依存を組み入れてベイズ推定.空間依存として各地区ごとに異なる共分散構造を仮定した正規分布を説明変数に組み入れて,構造化する.結果からrisk aversionやloyalityが空間依存することがわかり,これはherd behaviorが原因と考えられる.更なる特定化が必要.

  • Simultaneous Use Probability of Mobile Internet and Other Media by Multivariate Probit Model
  • Hisashi Ishida, Fumiyo Kondo

日本では携帯電話が普及しており,その利用のされ方はsimultaneoously usageとentertainment service and study information serviceがある.後者のポテンシャルユーザーを把握するために日経が行ったWebでの5500人のアンケート調査からポテンシャルになりうる説明変数を導く.モデルは多変量プロビットモデルでギブスサンプラー+MCMCで推定.年齢や性別が携帯電話利用に影響を与えることを明らかに.将来的にはHierarchical bayesian modelを考えている.

●TC11 Choice Models: Applications

  • Market Segmentation for Multi-Feature Products: A Clusterwise Variable Selection Approach
  • Sunghoon Kim, Feng Liang, Jianfeng Xu

選択肢の属性が大量にある場合にクラスタリングをする方法として,まず選択肢の要素のある部分集合を用いてクラスタリングしたグループと,別の部分集合を用いてクラスタリングをしたグループをつくるという方法.Bayesian variable selectionとしてGeorge and McCulloch (1993, 1997), Gilbride, Allenby, Brazell (2006)など.選択肢Ciの下に潜在変数Yiがあり,その下に係数βiがあり,その下にはセグメント指標Hiと係数のセグメント平均μi,変数選択のインデックスベクトルZiがあるという構造でプロビットモデル.推定はギブスサンプラー+MCMCで.

  • Multivariate Probit Model to Examine Synergies within a Firm’s Channel Portfolio
  • Mahima Hada, Rajdeep Grewal,John Liechty

企業の販売チャネルポートフォリオについてAppleのケーススタディ.オンライン,アップルストア,量販店,小売,カタログ,中古など.チャネル決定のレビューにはAnderson (1987), Heide (2003), Geyskens et al. (1999)など.チャネル選択モデルは多変量プロビットで.仮説として直接販売と間接販売は相補的である,オンライン販売は他のチャネルと相補的である,といった仮説を置き,推定された共分散構造からそれらが正しいかどうかの判断を行っている.

  • Using Water Service Delivery Attributes to Evaluate Pricing Policies
  • Peter Oppenheim, Gamini Herath

上水・下水のWilling to payを測定するために,実験計画法でつくったSPをやり,MNLで推定した.会場が生温かい感じに.ちなみにabstractではmixed logitで推定って書いてあるのに,なぜかMNL.なぜ?

  • The Evolution of Internal Market Structure
  • Garrett Sonnier, Oliver Rutz

Choice Map(認知マップ)はブランドポジショニングに古くから使われているが,それは時間とともに変化するのではないかというのが背景.ブランドポジショニングパスを描くことが目的.因子分析選択モデルによって,プロビットモデルの説明変数の中に因子分析を含め,時間変化とブランド選好を潜在変数によって表す.モデルは当然,ギブスサンプラー+MCMCで推定.結果にブランドポジショニングが動的に変化していくChoice Mapを見せていた.

●TD07 Internet Marketing: Auctions

  • An Analysis of Alternate Auction Policies for Search Advertisements
  • Subramanian Balachander, Karthik Kannan, David Schwartz

YahooやGoogleでキーワード検索した際の広告はキーワードやフレーズ単位で広告主のgeneralized second price auctionになっている.YahooはHighest bid policyであり,GoogleはHighest profit policyである.これらの戦略の違いが広告主とサーチエンジンの利益に違いを与えるのかを研究.レビューとしてEdelman et al. (2007), Feng, Bhargare, Pennock (2005), Chen and He (2006)などがある.ベースモデルとしてアドバタイザーがi,jの2つ.仮定として消費者が広告と品質の関連をわからないとしたとき,Highest bid policyの方がうまくいく.まだモデルが単純なので複雑化させていく方向.

  • To Bundle or Not To Bundle: On the Profitability of Multi-item Auctions
  • Peter Popkowski , Gerald Ha ubl,University Yingtao Shen

オークションで売るときにBundleさせた方が利益があがるのかという研究.品物間にasymetryとvariationがあるかどうかで分類し,それをグラフで表現していたが,よくわからず.相補性がある商品はバンドルした方が良いと結論づけていたが,当たり前の気もするし,そもそもグラフがおもしろそうな内容だったが理解できず.

  • The Impact of Promotional Messages during Auctions
  • Eric Greenleaf, Caroline Ducarroz, Sha Yang

オークション中にオークショナーがbidderにメッセージを送ったときに最終価格に対してどんな影響があるのかという研究.メッセージにはInformationmessage, Urging message, Warning messageがあり,直接的なインパクトとして
評価額を上げる影響,間接的なインパクトとして潜在的な入札者をモチベートする影響がある.レビューにはYao and Mela (2008), Kamins, Dreze, Follce (2004)がある.AirFranceのauction ticketをケーススタディとして
distributed lag modelで推定.

  • Nonparametric Demand Estimation Using Online Auction Experiments: A Polya Tree Approach
  • Sam Hui, Edward George

新しい商品のWTPを得るためにBayesian nonparametric approachを用いる.これまではparametric approachとしてWTP分布をガンマ分布と仮定することが多かった.今回はノンパラとしてPolya Treeというものを用いる.これは混合分布でも強くrobustであり良い.Polya TreeのレビューとしてBraun et al. (2006), Kit et al. (2004, 2007)などがある.