17th HKSTS International Conference 雑感

D3のときは死んでいたため国際会議参加せず,今年度は病み上がり(?)なのでのんびりしようと国際会議にあまり前向きに投稿していなかったのだけど,香港は近いし行くかということで,2年ぶりにHKSTSに参加した.香港は毎年国際会議を開いていて本当に偉いと思う.ネットワークモデラーの巣窟だが,香港という場所柄ヨーロッパからも参加しやすいようで,今年もTimmermanらが参加していた.彼はでかいので目立つ.

いくつか興味のある発表をメモっておく.

Insrastructure Planning for Electric Vehicles with Battery Swapping

Shen (UC Berkeley)の発表.EVは自分も雇われているお金の関係で研究しなきゃいかんので,そのために聴いてみた.EVの現状の一番の問題点は航続距離(つまりはバッテリー容量)の問題である.また,その充電にもガソリンの給油に比べてかなりの時間を必要とする.そんなわけで,とりあえずBattery Swapping Stationでバッテリーを交換しちゃえばいいのでは?という提案である.問題としてはSet Coverage ProblemとUser Uncertaintyを考えた問題によるRobust Optimizationのアプローチを取っていた.内容はともかく,EV関連の問題点が結構整理されててよかった.

Bayesian Inference of Passengers' Path Choices with Incomplete Data - An Application for London Underground with Oyster Card Data

Fu (University of Leeds)の発表.要はSUICAみたいなICカードデータで入場した駅,出場した駅,それぞれの時刻がわかっているときに,どういう経路を通ったか当てようという話.経路ごとに所要時間や待ち時間が異なるので,混合ガウス分布で分離しましたという内容.なんかこの手の研究は日本でもよくやられてるなぁ.その後の分析の方が重要だと思うが.

Health Benefits Versus travel Time: A Bi-Objective Route Choice Model for Cyclists

Cycle Commuterはhealth or fittness目的がほとんどなので,いわゆる所要時間みたいなものは経路決定要因にならないらしい.(余談だが,このまえ九大の横尾先生も40分くらいかけて自転車通勤をしているけど,それもフィットネス目的だとおっしゃっていた).しかし,幹線道路は排気ガスが多いため,あまりにpollutedであり,健康に良くない.ということで,fitness目的とair pollutionを考えながら経路選択をしていると考えた経路選択モデルを考えてみるという話.話自体は直観的にもあってる気がする.

Morning Commute Problem in a Two-to-one Network with Parking Constraint

Liu and Yang (University of Hong Kong).うちの出身研究室のTくんの修論が参考にした論文を発展させた感じ.Bottleneckを過ぎ去った後にも中心部でのParking Capacityがあり,そこを早い者勝ちにするか,予約させるか(Parking Permit)みたいな議論だった.bottleneckの扱いとparkingの扱い,どう変えてるんだろ.本質的に同じなら分ける必要がないので,なんか違いがあるんだろうけど,プレゼン聴いてるだけではわからんかった.

Trial-and-Error Implementation of Tradable Credit Schemes - The General Network Case

Wang and Prof. Yang (University of Hong Kong).発表聞きながらTradable Credit SchemesでTransportation Research Bに載せすぎだろとおもた.相変わらずなんでLinkごとのpermitであるtradable bottleneck permitではなく,tradable creditにする必要があるのかが謎.いや,Equityの話だということはわかるけど,結局congestion chargingと同じ状況になるだけだし,情報の非対称性も解消しないし,モチベーションがわからんのだよなぁ.とはいえ,congestion chargingを導入する際にequityの問題は非常に重要になるので,そこに対してとりかかろうというのであれば意義もわかる.

The Downs-Thomson Paradox under Transit Dispaching and Pricing Schemes

またもやYang, H. 道路が混んでるので道路ネットワークを増強したら,誘発需要が発生して更に道路が混んでしまうというDowns-Thomson Paradoxについてもう一回考えてみましょう的な内容.

Modeling the Cell Transmission Model as a Complementarity System

Agachai (Hong Kong Polytechnic University)ら.CTMをDynamic User Equilibrium (DUE)に使おう的なやつ.前もTransportation Research Bに載ってた気がする.CTMってなんだかんだで何に使えるんだろという感じではあったのだが,DUEの解析に使えるのであればよいよね.しかし,いろいろと強い仮定を置いてそう(詳しくはしらん)

自分の発表は相変わらず貧困な英語力ということで….香港は飯がうまいし,日本からも近いので,軽く参加するにはやはり良い会議だと思う.自分は参加しないが,今年はINSTRがHKSTS後に開催とのことでそちらに参加する人も多そうだった.とりあえずこの週末にかけて最近やらなければいけないTODOが同時にかなり解消された感があるので,今週は毎日数時間は自分の研究に当てれそう.INSTRに参加するために今日香港に来た某Iさんとどっちが先に論文書くかという不毛な賭けをしたのでがんばらないとですね.