The effect of social comparisons on commute well-being

Abou-Zeid, M. and Ben-Akiva, M., The effect of social comparisons on commute well-being, Transportation Research Part A, Article in Press, 2011.

相変わらずブログを放置気味だったし,D論書かなきゃいかんけど春なので時間も少しあるということで論文メモでも久しぶりに書いてみる.

概要

最近,流行の兆しを見せている交通行動とハピネスの関連性についての論文.社会的な比較によって生じるギャップは相対的な幸福感の決定要因であり,その後の行動に影響を与えるとこの論文では仮定している.そこで,社会的な比較が交通行動に間接的に与える影響を捉えるHybrid Choice Modelをベースにしたモデルフレームワークを開発する.

これにより一般的な通勤属性と他者から与えられる相対的な幸福感の間の違いを認識し,他者の通勤と比較して望ましい属性からより大きな幸福感を得ることを実証的に明らかにする.

目的

社会的相互作用が交通行動に与える影響はめっちゃ重要になってきている.このような社会的比較は少なくとも3つの方法で影響を与える.(1)他者から得られた情報(McFadden, 2005, 2010),(2)規範(Manski, 1993, 2000),(3)自分の選択と他者の選択の差異から感じる幸福感(Wills, 1981; Suls et al. 2002).この論文の関心は交通行動の比較と幸福感と選択行動の影響を明らかにすることにある.

モデルフレームワーク

概要でも述べたとおり,Hybrid Choice Model(Ben-Akiva et al., 2002; Walker and Ben-Akiva, 2002)を用いる.既存のモデルは他者の行動が直接,効用に影響を与え,そこから選択行動を引き出すという考え方だが,一旦相対的幸福感に影響を与え,それが効用に影響を与えるという考え方に変更する.
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モデルの推定自体は最尤推定またはシミュレーテッド最尤推定で推定する.

実証・適用

データはクロスセクショナルデータで,通勤の満足感,通勤時以外の交通行動,活動の幸福感,いくつかのシナリオ下における交通行動の選択肢のWTPなどを調査.Commute satisfaction, Work well-being, Commute stress, Social comparative happiness, Quality of work environmentを説明変数を用いて構造方程式とし推定を行った.これらの結果はFig.5に示されている.
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結論

社会的比較が相対的ハピネスや通勤行動に与える影響を明らかにすることができたが,交通行動に満足感が与える影響は実証的にはモデリングされていないので,今後それらの関係性を明らかにする必要がある.


大体1時間くらいでまとめられるので,週に何度かはブログ更新したいなぁ...